墓じまいとは、何らかの理由で現在あるお墓を撤去・廃棄することです。お墓の大きな富山県の墓じまいについてお話します。
墓じまいとは?
墓じまいとは様々な理由により、遺骨を納骨堂などに移転させ、今現在あるお墓を撤去・廃棄することです。
遺骨は勝手に移動させてはいけません。
また、勝手に廃棄してもいけません。
移転先を決め、移転元の市町村に改葬許可証を発行してもらい、移転先の市町村に届け出る必要があります。
正しい手続きを行わなかった場合、刑法第190条により罰せられることもあります。
第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
(墳墓発掘死体損壊等)
このページでは
「どのような手順で墓じまいをすればいいのか?」
「墓じまいにはいくらくらいかかるのか?」
など墓じまいに関する正しい知識をお伝えいたします。
どんな人が墓じまいをするのか
お墓を持っているけど
- 子供が全員嫁いでしまってその家が絶家になってしまう。
- 何らかの事情で跡継ぎがいなくなってしまう。
- 別の土地でお墓を建てたので、現在のお墓が不要になった。
などの理由で、お墓を移転、もしくは廃棄する人が墓じまいをします。
墓じまいをしないでお墓を放置するとどうなるのか
昭和30年代以前のお墓だと、基礎が傷んできているものも多く、放置しておくと傾いてきて崩れるかもしれません。
平成10年以前のお墓だと、耐震施工が施されていないお墓が多く、震度5程度でも被害がでることが確認されています。
また、お墓の継承者がいなくなり毎年の管理料が滞った場合、墓地の規約によりお墓は撤去されます。(撤去費用などは墓地規約に従います。)
その場合お骨は契約時に定められた場所に合祀されます。
墓地契約時に保証人を設定してある場合は、保証人に連絡がいきます。
墓じまいの手順
墓じまいをするときの流れを7つにまとめました。
1)親族に相談する
あなたの家のお墓は、あなただけがお参りしているわけではありません。
「いつものようにお参りにいくと、あるはずのお墓がなかった。お墓の中には兄のお骨もあったのに。。。。」そんなトラブルもときどき耳にします。
中には「先祖代々のお墓を廃棄すること」に不快感を持たれる方もいらっしゃいます。そんな方にも墓じまいを行う理由を根気強く訴えることが必要です。
お参りに来てくださっている人すべてに連絡するのは難しいと思いますが、近しい親戚や縁者には事前に墓じまいをすることを伝えるといいでしょう。墓じまいをスムーズに行うためにも大切なことです。
2)寺院に相談する
あなたのお墓が「寺院の境内」や「寺院が管理する墓地」に建っている場合、早めに寺院(墓地の管理者)に墓じまいについて相談するのが望ましいです。
寺院はお墓や遺骨の管理者というだけでなく、先祖代々の供養に関わっているところでもあります。
それをいきなりあいさつなしで「お墓を撤去します。墓じまいします」となりますと、寺院側もあまりいい気持にならないのは想像できます。
また、「お墓を撤去する」=「寺院との関わりがなくなる」=「檀家でなくなる」ということから、場合によっては「離檀料」を請求される場合もあります。
「離檀料」についてはこんな話があります。
葬祭問題の専門家である日本葬祭アカデミー教務研究室代表の二村祐輔氏によれば、過去にこんなケースがあったという。
「独り暮らしのおばあさんが、田舎にある先祖代々のお墓を引き払って、息子が暮らしている町に移したいと菩提寺に申し出たところ、住職は激怒したうえ、多額の離檀料(800万円と聞きました)を口にしたそうです。毎年の護持会費はもちろん、盆暮れの付け届けも欠かさず納めていたにもかかわらず、です」
のちに説明いたしますが、遺骨を移動するときに必要な「改葬許可証」を発行してもらうには、現在遺骨を納めている墓地の管理者の署名捺印が必要となるのです。
ですから、寺院にお墓がある場合、墓地の管理者である住職の署名捺印が必要となります。
法外な離檀料を請求してくる寺院がいる背景には、以上のような理由があるのです。
ただし、「離檀料」というのは本来は「今までお世話になったことのお礼」です。
「ハンコ代」ではないはずです。
ですから、テレビや雑誌で言われているような大きなトラブルになる前に解決することがほとんどです。
3)お骨の移転先を決める
それまでお墓に埋葬されていたお骨をどこに移すか決める必要があります。
移転先は大きく分けて3つあります。
墓じまい後にお骨を、親戚や縁者のお墓に改葬することがあります。
墓埋法では、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない」とされています。
これは「墓地の永代使用権利者が認めるなら、基本的に誰を埋葬してもいい」ということになります。ですから、苗字が異なっても1つのお墓に納めてもいいことになります。
ただし、墓地の規約に「埋葬は第〇親等以内」と決められている場合は、規約に従わなくてはいけません。
墓じまい後にお骨を、納骨堂に移すことがあります。
納骨堂には各市町村が運営している公営納骨堂と、民間業者が運営している民営納骨堂、寺院が運営している寺院納骨堂があります。
公営納骨堂
メリット:
・運営母体が都道府県や市町村の自治体で、安定している。
・費用を安く抑えることができる。
デメリット:
・一定期間(30年など)を過ぎると合葬する。
・宗教は仏教形式が多い。
・申し込み条件が細かく決まっている。
・ほとんど公募していないため、各自治体に問い合わせが必要。
・数が少なく、抽選になることもある。
*富山県では富山市営納骨堂がある。富山市役所ホームページ
民営納骨堂
メリット:
・基本的に料金を支払えば誰でも使用できる。
・利便性のいい場所にあることが多い。(交通アクセスがいい)
・宗派に関係ない形式
デメリット:
・一定期間(30年など)を過ぎると合葬する。
・公営と比べると費用が高くなる。
・都市部に集中している。
*インターネットで「地域名 納骨堂」などと検索すると見つけることができます。
寺院納骨堂
メリット:
・ほかの納骨堂と異なり、永年にわたってお骨をまとめず、個々に保管・供養してくれることが多い。
・それぞれの宗派にあった供養をしてくれる。
デメリット:
・檀家、もしくはその親族以外は受け付けていない場合が多い。
・寺院に隣接しているため、利便性は民営納骨堂に劣る。
・公営と比べると費用が高くなる。
*インターネットで探すほか、寺院に直接電話して確認しないと見つからないことが多い。
「お墓がない」「お墓に入りたくない」「残された家族への負担を減らしたい」「自分が死んだら自然に還りたい」
上記のような理由で特定のお墓を作らず、海や宇宙への散骨を希望する人が増えています。
海洋葬:散骨・海洋葬ネット・オーシャンメモリアル・日本海洋散骨葬情報センター
宇宙葬:銀河ステージ・スペースメモリアル・バルーン宇宙葬
*注:「散骨は法的にグレーゾーンである(ハッキリと法的には認められていないが、規制されていない案件である)」という意見があります。
なぜなら「散骨は死体(遺骨)遺棄に当たらない」ことの根拠とされている、『当時の厚生省と法務省が「葬送のための祭祀として節度をもって行われるかぎり遺骨遺棄罪には該当しない」と発表した』という記録が正式な文章として残っていないからでえす。
以下、Yahoo!知恵袋からの引用です。
散骨について調べていくと、合法の理論づけにされている有名な引用ですが、なんと当時の原文が残っていないため、サイトによって言い回しが異なる
また
「節度をもって行われる限り問題はない」
これは、その当時撒骨を行った会が当該部署に連絡、問い合わせた結果そのような回答を得た、と主張しているだけであって、これらを裏付ける事実関係については明らかにされていません。
ただ、この見解を発したと称する刑事局の元検察官僚は存在します。
以上のように「散骨に違法性はない」とする根拠は正式には明文化されていません。
ただ、「(常識ある)散骨をしたにも関わらず罰せられた」という事例もないようです。
4)改葬の手続きをする
お骨を移転することを『改葬』といいます。
改葬を行うためには以下手順にて『改葬許可書』をもらう必要があります。
1.改葬先の墓地・霊園・納骨堂を決め、「受入証明書」を発行してもらう。(お骨を受け入れる場所が決まっていることの証明書)
2.現在墓地(ご遺骨)がある市町村役場にて「改葬許可申請書」を発行してもらう。(改葬の手続きは各市町村によって異なることがあります。)
*富山県富山市では「改葬許可申請書」は電話の問い合わせで郵送してもらうこともできます。
3.「改葬許可申請書」に以下の必要事項を記入します。(富山県富山市の改葬許可申請書記載例より抜粋)
・死亡者の本籍
・死亡者の住所
・死亡者の氏名
・死亡者の性別
・死亡の年月日
・埋葬または火葬の場所
・埋葬または火葬の年月日
・改葬の理由
・改葬の場所(改装前/改装後)
・申請者の住所、氏名、志望者との続柄及び墓地使用者等との関係(住所/氏名/死亡者との続柄/墓地使用者等との関係)
・申請者の署名、捺印
・墓地管理者の署名、捺印
4.現在の墓地(ご遺骨)がある市町村役場に以下の書類を提出し、『改葬許可証』を発行してもらう。(富山県富山市の場合)
・上記3で記入捺印済みの「改葬許可申請書」
・墓地使用許可書(受入許可証など)の写し (確実に受け入れ先があるという証明になります。)
・墓地使用者の承諾書 (改葬許可申請者が墓地使用者と異なる場合に必要)
加えて手数料として改葬許可書1通につき300円。
*改葬許可証は遺骨1体につき1枚必要となります。
*「骨瓶が割れていて1体が判別しないとき」は窓口でお尋ねください。
*遺骨を取り出す際、4で発行してもらった『改葬許可証』を現在の墓地管理者に見せる必要があります。
*遺骨を取り出す際、もしくは事前に「閉眼供養」「抜魂法要」「心抜きの義」(呼び方は宗派、寺院によって異なります)などの儀式を行うことを習慣としている場合があります。寺院にご確認ください。
*お骨を取り出すのは石材店が代行することがあります。
5)石材店を決める
墓じまいをするには、墓地の規約に従い、お墓や基礎コンクリートなどを撤去して返還する必要があります。
その施工を行う石材店を決める必要があります。
お骨を取り出すのも石材店に依頼することができます。(もちろん、ご自分やご家族で取り出しても問題はありません。)
石材店はインターネットや電話帳で探す方が多いようです。
最近は県外からのご依頼も多くなっています。(参考:県外のお墓を墓じまいするときに気を付けること)
6)ご遺骨を取り出す
ご遺骨を取り出すのは、通常、石材店に依頼します。
もちろん、ご家族や縁者の方が取り出しても構いません。
お骨を取り出す際に(もしくは事前に)、閉眼供養などの法要を行う必要がある場合があります。
詳しくは寺院などにお問い合わせください。
*「閉眼供養」は「御魂抜き」「性魂抜き」などと呼ぶことがあります。
寺院にお問合わせの際は「お墓を取り壊すときに何か儀式をする必要がありますか?」と聞けば教えてくれます。
ただし、寺院(宗派)によっては「必要ない」と言われる場合もあります。
*「閉眼供養」などで必要なものは通常、「ロウソク・線香・お花」くらいですが、それも寺院にご確認ください。
石材店にお墓の場所をうまく伝える方法
最近は遠方からの墓じまいのご依頼が増えています。それにともない「(電話で)場所を伝えるのでお墓を見てきてほしい」と言われるケースも増えています。
ご依頼主が県外の方だったり、お忙しかったりいろいろな理由があると思いますが、電話だけでお墓を見つけることはほぼ不可能です。
(注:富山私営墓地西ノ番や、その他区画整備された墓地でしたら区画番号からお墓を見つけることはできます。)
また、仮にお墓を見つけることができたとしても、「何を、どうしたいのか」は墓地を見ながらご説明いただかないとわからないことが多いのです。
ですからお見積り前に、一度は石材店と一緒に墓地で打ち合わせをすることをおススメしています。
ただどうしても富山に来るのが難しいこともあります。
そんなときはGoogleマップを使い、お墓の場所をメールで伝えていただけますとお墓を見つけやすくなります。
私が推奨しているのは「Googleマップを使った墓地の説明」です。
今では広く普及しているスマートフォンを使用すれば、お金をかけることなく、墓地の場所を空港写真で示すことができます。
Googleマップを使った墓地の説明(例)
*今回はわが家(亀山家)のお墓の場所をGoogleマップを使って説明いたします。
写真はスマートフォンでGoogleマップをスクリーンショットしたものに、矢印を書き込みました。
どれもスマホでできることばかりです。
近くに立山町の消防署があるので一緒にスクリーンショットを撮ります。(赤い矢印がお墓の位置)
少し拡大したところでもう一枚スクリーンショットを撮ります。
さらに拡大してスクリーンショットを撮ります。
最高まで拡大してスクリーンショットを撮ります。
上記写真のほかに、具体的にお知らせいただきたい情報を以下にまとめてみました。
- 墓地の近くに目立つ建物があれば、それも含めてスクリーンショットをしてください。
- お墓の場所を赤矢印などで分かるようにしてください。
- お墓に彫刻されている方のお名前(1~2名のお名前をフルネームで)
- 右隣り、左隣りのお墓の名前(苗字だけで結構です)
これくらい情報がありますと、数百基のお墓があってもお墓を特定できます。
逆に、「あそこの墓地のあの辺りにある○○家ってお墓だから探し出して」という情報で探し出すのはほぼ不可能です。
墓じまいにかかる費用はいくらくらいなのか?
墓じまい(お墓の撤去・廃材処理)の費用は
- お墓がどのような場所にあるのか。
- 解体、撤去するのはお墓だけか?
- 基礎コンクリートなども撤去するのか?
- そのあとの墓地をどうするのか?
によって異なります。
ときどき電話で「いくらくらいかかりますか?」と聞かれるのですが、様々な墓地があり価格が異なるので返答に困ってしまうのが実情です。
誤った金額はお伝えしたくないものです。
実際にお墓を見せていただかないことには、正確な金額はお伝えできません。
全国組織でもある全優石(全国優良石材店)のホームページを見ても
撤去費用は、墓地の広さ、墓石の大きさや量、撤去作業の方法や工数によって変わってきます。たとえばクレーン車やトラックを使うことが容易か、全てを手作業で行わなければならないか、どの程度の人手と日数がかかるか、場所が入り組んでいるかなど様々な条件があります。これらによってかかる費用は変わってきますが、1㎡あたり10万円程度が相場とされています。事前に石材店から見積をとることをおすすめします。
正確な金額はわかりません。
参考までに石の立山で行っている「墓じまいセット価格」を掲載しておきます。
(その後の墓地利用も含めてご相談にのります。)
いろんな墓じまい(墓じまい施工例)
生家とお墓を撤去したい。
S様 立山町Y地区墓地
Q:墓じまいを決断された理由をお聞かせください。
A:家族がみんな千葉に移ってしまい、生家とお墓だけ残っている状態でした。
両親も他界しお墓を守る者がいなくなったので、お骨を横浜に引き取り、生家もお墓も撤去することにしました。
Q:墓じまいにあたり、不安なことはありましたか?
A:「お墓の処分を誰に頼めばいいか?」に一番悩みました。
インターネットで検索して石の立山さんを見つけ、ホームページを読みました。
お墓は比較的山の方にあるのですが、同じ町内だったのが決め手でした。
実は近所に住んでいる友達に相談したところ、「知り合いもやってもらったことがあるからいいのではないか」とアドバイスをもらっていました。
Q:実際に墓じまいをしてみた感想をお聞かせください。
A:事前の説明も丁寧にしていただき、安心して解体の日を迎えることができました。
メールで施工前、施工途中、施工後の写真を送っていただいたのはうれしかったです。
近くに住んでいた親友が「一生懸命仕事しとられたよ。きれいになっていたよ」と報告してくれました。
お骨を遠方に置いたまま、なかなか手を合わせに行けないことに申し訳なさを感じていましたが、これからはもっと頻繁にお参りに行けそうです。
施工前
施工中
施工完了
親戚と共有している墓地をどうすればいいのか悩んでいました。
T様 富山市N地区墓地
Q:墓じまいを決断された理由をお聞かせください。
A:横浜に移って四十年が経ち、毎年お墓参りのために富山に来るのがきつくなってきました。
横浜でお墓を建てることもできたので、富山のお墓を墓じまいすることにしました。
Q:墓じまいにあたり、不安なことはありましたか?
A:墓じまいに関しては全く知らなかったので、まず富山の親戚に「知っている石屋さんがいないか」聞いたところ、石の立山さんを紹介してもらいました。
ただ、石の立山さんと墓地は離れているので大丈夫か不安でした。
墓地が親戚と共有しているので、それをどうすればいいのか、専門家の意見を聞いてみたいと思っていました。
Q:実際に墓じまいをしてみた感想をお聞かせください。
A:富山市役所との打ち合わせや、解体作業などのご提案を非常に親身にしていただいたことが印象的でした。
私は車をもっていなかったので、富山駅から送迎していただけたのも助かりました。
となりの親戚も「きれいな仕事をしてくれた」と喜んでいました。
施工前
赤線部分のみ墓じまいします。
基礎コンクリートに切り込みを入れ解体を行いました。
解体撤去後、隣接するお墓にブロックで壁を作りました。