見失ってはいけないこと

  • 2020年5月23日
  • 2020年5月23日
  • 生き方
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「アレクサ、コロナウイルスについて教えて」

全国に非常事態宣言が出されて2週間。
日常生活が目に見えて変わってきた頃、ふと改めてコロナウイルスについて調べてみようと、スマートスピーカーに語りかけました。

スマートスピーカーとは、音声入力で動く対話型の機械のことです。
「アレクサ、〇〇について教えて」と話かけると、インターネットの検索結果を音声で教えてくれます。

「厚生労働省ノ ホームページ ニヨルト…」
人工的な女性の声が、少し奇妙な抑揚で新型コロナウイルスについて語り始めました。

しばらくすると私の左手が引っ張られます。
いつのまにか6歳のチビが私の左手をギュッと握り不安そうな顔で見上げています。
「なんか怖い…」

「アレクサ、停止。ありがとう」
すぐにスマートスピーカを止め、チビを抱き上げました。

少し重くなったのかな。
思えば最近、だっこもしていなかった。

「大丈夫だからね」と伝えると、何も言わずギュッとしがみついてきます。

休校中でも普段と変わらない様子だったチビですが、やはり子供なりに不安に感じることがあったのでしょう。
もしかすると、私もいつもより険しい表情になっていたのかもしれません。

そして本当に大事なものを見失っていたようです。

 

しばらく抱きかかえていると子供の呼吸が少し落ち着いてきました。

窓の外に目をやると、富山では珍しいくらいの青空が広がっています。

「そうだ。いまから自転車の練習にいこうか?」

私の提案にチビはとびっきりの笑顔で応え、外に飛び出していきました。