「お墓のクリーニングをお願いしたいのですが、納骨まであまり時間がないので大丈夫でしょうか?」
あと10日ほどで年明けを迎える頃、お墓クリーニングの見積依頼がありました。
墓地で拝見したところ、あまり見ない五輪塔と呼ばれる形。
ご納骨まであまり日がないのと、天気(降雪)が心配だったので墓地でそのまま打ち合わせを行い、クリーニングのご依頼を正式に承りました。
五輪塔に込められた思い
今回のお墓は写真の様に墓地の中に2つ、石塔が建っていました。
右側が五輪塔で、納骨は左側のお墓にするタイプです。
しかも富山県では珍しい地下納骨形式でした。
五輪塔は日本で考案された石塔。
その原型はインドのお骨を入れる容器と言われています。
ちょっと「おでん」のような形は、古代インド哲学から仏教につたわった「五大:地・水・火・風・空」を表しています。
そして平安時代に真言宗(密教)の覚鑁上人(かくばんしょうにん)が供養塔として確立させました。
五輪塔は「即身成仏の姿」を現しています。
「即身成仏」とは「生きたまま仏になること」であり、そこから転じて「五輪塔のお墓に埋葬すると(あるいは五輪塔を墓地に建てると)故人はみな成仏できる」と言われるようになりました。
やがて五輪塔の考え方は墓相に取りこまれて、宗派に関係なく広がっていきます。
現にこの施主様も浄土真宗でした。
墓相とは「お墓に関する昔からの伝承や言い伝え」を独自の観点でまとめたものだと思ってください。
「お墓の風水」と考えていただければわかりやすいでしょうか。
墓相にはいろんな流派や謂われがあり、玉石混合な分野ですので私は一概にオススメしておりません。
ただ、お墓の造形や施工の状況から「このお墓を建てられた石材店は丁寧な仕事をしていた」ことがわかります。
そして「そんな石材店を選ばれたご祖父様も、故人とご家族を大切に思われていたのではないか」と私が感じたことをそのままお客様にお伝えいたしました。
クリーニングの内容
- 墓碑高圧洗浄クリーニング
- 墓碑研磨洗浄クリーニング
- 文字、家紋の色塗り
- 故人名の色塗り替え(赤→黒)
- ロウソク金具交換
- 線香金具交換
お墓のクリーニングが終わり、施工写真をお送りした数日後、お礼のお手紙が届きました。
そこにはお墓が思った以上にキレイになったこと対する感謝が丁寧に書きつづられており、最後はうれしい言葉で結ばれていました。
お墓を建てた祖父の思いがよくわかった。
今後もお墓を大切にしていきたいと思います。
ありがとうございました。