お墓の種類・構造について・石の種類
お墓は形状・構造・石種で区別されます
お墓は以下の要素で区別することができます。
- 形状:お墓の見た目。大きく3種類に分かれます。
- 構造:納骨堂の作り方。大きく3種類に分かれます。
- 石種:石の種類は無数にありますが、お墓に適したものは限られています。
以下、順番にご説明いたします。
お墓の形状について
お墓の一番上の石(石の立山では「トボ石」と言っています。「竿石」「仏石」とも言います。)の形状で3つに大別することができます。
伝統的な『和型墓石』
県内で最も多いお墓の形状。一般的にお墓というとこの形をイメージされることが多い。トボ石は縦長の長方形の形をしている。文字は縦書き。
ちょっとおしゃれな『洋型墓石』
ここ20年で増えてきたお墓の形。和型墓石と比べると高さを低く抑えることができます。トボ石は横長の形をしている。文字は横書きが多い。
近年増えてきた『デザイン墓石』『和洋折衷型墓石』
和型にも洋型にも属さない形状。従来のお墓と比べ、デザインが豊富でお墓のイメージを変えてきている。文字の書き方も自由。
お墓に統一はデザインはありません
よく誤解されている方が多いのですが、お墓はその石材店によってデザインや大きさが異なります。
つまり『 石屋Aの和型墓石 』と『 石屋Bの和型墓石 』は形状が異なり、厳密に言えばその設計思想や施工方法、耐震設計などが異なります。。
現在では石材店ごとのお墓の見た目は似通ってきましたが、逆に『目に見えない箇所の品質』が大きく違ってきています。 そしてその違いは『お墓の寿命』や『耐震強度』『利便性』に大きく関わっています。
本当に大切なものは目に見えないところにあります。
納骨堂の構造について
富山県の多くのお墓が納骨堂は地上にあります。
その納骨堂の構造は大きく3種類に分かれます。
一体型構造
よく宣伝で聞く「ひとつの石をくり抜いて」作成した納骨堂です。石と石の接合部分がなく、「水が浸入しにくい」「地震や凍害爆裂に強い」と言われています。
ただし多くの石を必要とするため、作成できる納骨堂の大きさが制限されたり、お墓全体の価格が高くなります。
合わせ型構造
複数の石(一般的には3つの石)を組み合わせて作成する納骨堂です。
柱型構造
四本の柱を立て、その間を薄い板石で囲って作成する納骨堂です。
一般的に価格は 一体型構造>合わせ型構造>柱型構造 となります。
父が一体型構造を開発したのは昭和50年中ごろです。(富山型墓石で一体型構造を一番最初に作成したのは父:亀山哲也です。)
当時は石と石はセメントで接着するしかなく、経年劣化による納骨堂内への水の浸入や破損などが多発していました。そしてそれはある程度は「仕方がないこと」とされていました。
父は「なんとか水の入らない、そして丈夫なお墓ができないものか」と考え、一体型構造の作成方法からデザインまで開発し、富山型墓石で実現化させました。
ただ近年ではお墓の施工技術も進歩しており、合わせ型構造でも一体型構造に負けない施工ができる石材店が増えてきています。
ですから私は今現在、一番オススメしているのは合わせ型構造です。
しっかりと施工を行えば、経年変化による水の浸入も破損もほとんど起こりません。価格も一体型構造と比べるとリーズナブルになります。
逆に施工がおろそかになっていますと、一体型構造でも水の浸入や破損が起こってしまいます。私はいくつかの検証をして、水の浸入は一体型構造だから完全に防げるというわけではないということがわかっています。
施工技術というのはそれくらい重要であり、石材店にとっての『 宝 』なのです。
注意:柱型構造でも正しい設計、施工をしていれば水の浸入はなく、強度も十分なお墓を提供することができます。ただしそのためにはお墓の大きさや形状などさまざまな条件を考慮する必要があります。
ここでは「お墓の耐久性は構造・施工技術・石種などのトータルで決まる」ということ。
「この構造だから大丈夫」とは必ずしも言えないということをご理解してください。
石の種類
ネットでお墓について検索してみると結構石についていろんな情報がでてきます。
ただその中には意図的に特定の産地の特定の石種のみを称賛しているものもちらほら見受けられます。
では実際にお墓に適した石というのはあるのでしょうか?
現在、ほとんどのお墓は俗に言う『御影石』(厳密に言うなら『花崗岩』)で作成されています。
そしてこの『御影石』であればほとんどの石はお墓としての合格点を超えていると思われます。
一般的に言われる『年月が経ってボロボロのお墓』というのは『安山岩』や『大理石』『堆積岩』と言われているものが多く、 『みかげ石』と比べると軟らかい石で加工しやすいのですが、風化が早くなります。
手加工が中心の昔は多く使用されていましたが、機械加工が進んだ現代では極端に軟らかい石はお墓としてほとんど使用されていません。
つまり(乱暴にまとめてしまいますが)「御影石であればほとんど問題ない」と私は思っています。
その「『御影石』の中でどれがいいのか?」ということであれば優劣はありますが。
石の劣化は石種だけで決まるものではなく、施工方法や周囲の環境など複合的な要素で決まります。「この石だったら大丈夫」とは言えないものです。
『水につけて色が変わりにくい石ほど劣化しにくい』とも言われていますが、吸水率が低いにも関わらず劣化が想定よりも早く進む石や、「施工方法などにより劣化が早まる」という話もあります。
信頼できる石材店であるなら、(御影石であることを前提として)あとは好みとご予算に合わせて石の種類を選ぶのが一般的です。
注意:近年出ている奇抜な柄の石の中には、花崗岩以外のものも見受けられます。「花崗岩以外はダメ」というわけではないのですが、気になる方は各石材店にお問い合わせください。