地震があったとき、お墓を見に行ってはいけない3つの理由。

阪神淡路大震災から日本では大小さまざまな地震が起きています。

地震が起こったそのときはお墓にまで気が回らないと思います。
しかし、少し落ち着くとお墓が心配で見に行かれる方がいらっしゃいます。

お墓をよく知るお墓職人として「地震直後に墓地に行っては行けない」理由を3つお伝えします。

地震があった時、また「もしもの時」のため一読されることをオススメいたします。

要点は
・とにかく余震が起こる可能性が高い期間は墓地に行かないこと。(大きな地震だと1か月は大きな余震がきます。)
・お墓の修理を依頼するときは『施工内容』と『金額』を書面に残すこと。
です。

大きな地震の余震は続く

まず覚えておいていただきたいのは
大きな地震があったら地震発生から1か月間は墓地に行くのは危険だということです。
行く必要はありません。
プロが行っても何もできないのです。
素人が行ってもケガをするだけです。
それくらい危ないと思ってください。

熊本地震では最低1カ月は震度6弱、または5強の余震が起こると注意を呼びかけていました。

今回の鳥取の地震も同程度と考えてみますと、
やはり1か月は余震に気をつけるべきです。

いくらお墓やご遺骨が心配でも墓地に行くべきではありません。

墓地に行ってはいけない3つの理由

理由その1:強い揺れがあると墓石は飛びます

「石は重い」と考えられていますが、
地震のエネルギーは墓石を簡単に動かします。
直下型地震だと地震の大きさに関係なく石を動かします。

石が5m程度離れたところまで飛んだという記録もあります。

昔は地震の大きさを測る目安として墓地を見てお墓の倒れ具合で判断したそうです。

それくらいお墓は倒れやすいと思ってください。
特に阪神淡路大震災前に建てられたお墓は危険です。(今から21年前)

お墓について耐震を考えられるようになったのは神戸の地震以降なのです。

ですから古いお墓が密集しているところは特に要注意です。

理由その2:まともに耐震施工をしているところは案外少ない。

これは私の感覚的なものなのですが、
インターネット上でアップされている建墓の様子を見ると
地震に耐えられるような施工をしているところはあまり見受けられません。

地震対策で一番肝心なのは専用のボンドと金具です。
しかしネット上で見受けられる写真からは
そのボンドの量が圧倒的に少ないものばかりです。

FacebookなどのSNS上でもたまに見受けられますが、
やはり心配なのがほとんどです。

ボンドの使用量にはきちんとした量が決められています。

ネット上の写真にしっかりとしたボンドの量をアップしていないだけならいいのですが、
写真の通りだとやはり心配です。

ですから新しいお墓でもやはり地震があると危ないと考えておくべきです。

理由その3:墓地がある場所はあまり地盤のいい場所ではない。

新しく墓地が作られる場所は主に
・山の際などの崖っぷち
・河川敷などの近く
というあまり立地条件が良くない所が多いのです。

また、田んぼなど地盤が緩いところも多く見受けられます。(土地価格が安いため、田んぼを墓地に変更しているところが多くあります。)

以上の理由から、墓地は地震に弱い危険な場所が多い、ということがわかってもらえると思います。

お墓が心配だという気持ちはわかりますが

以上、ちょっと乱暴なところもありますが、とにかく地震のときは墓地は危険なところに変わるのだと知っておいてください。

ご年配の方や、信心の深い方は特にお墓の心配されるかと思います。

しかし私たちのようなプロが行っても、余震がある間はなにもできないのです。
余震があるうちはお墓を修理することもできません。
(微振動によりお墓が少しずつ動くからです。)

ご先祖様、亡くなった故人様にとって
一番心配なのは生きている身内の安全です。

お骨が飛散したりお墓が倒れていることよりも、
子孫の身の安全の方が大切に決まっています。

お墓を直すのは余震が落ち着いてからでも大丈夫です。

 

ご高齢者への言葉の配慮

お墓の様子を見に行こうとされる高齢者に「危ないから行っちゃダメ」と頭ごなしに言うと反発されてしまいます。

不安で心配でイライラするのはわかりますが、強い言葉は相手に「拒否」されます。

ですから
「こんな大きな地震があったから、お墓のことが心配だよね。
でも万が一お墓でケガをするとご先祖様や故人が心配するから、今はがまんした方がいいんだって。
1週間ほどしたら落ち着くと思うから、その時に一緒に行こうよ。
石屋には様子をみてもらうように連絡しておくから。安心して。」
と伝えてあげてください。

ポイントは

  • 心配している気持ちは理解できると共感していることを伝える。
  • 「あなたがケガをすると、故人が悲しむ」ということを伝える。
  • 1週間(もしくは10日など)期限を設けること。
  • 「石屋に連絡する」という『今できること』を伝えること。

共感と期限、正当な理由を教えてあげると
『こっそり見に行く』ようなことはなくなります。

悪質な業者に注意

それと、こういう震災があると「安く修理します」というような石材業者が県外から押し寄せると聞いています。

もちろん良心的なところもあるのですが、打ち合わせの内容、特に施工内容とそれぞれの価格はきちんと記録として提出するように求めてください

特に「今契約しないと施工が遅れますよ」と言うような石材店はやめましょう。
もちろん注文が集中して工期が遅れることはあります。
しかし、それを盾に即断即決を求めるやり方はフェアではありません。