お墓における上座と下座。骨瓶(骨壺)の並べ方には順番があります。
日本は文化的に上下関係を重んじる国です。
ビジネスシーンでも宴会でも、「席順(席次)」は重要な意味を持ちます。
どこが「上座(かみざ)」でどこが「下座(しもざ)」かわかりますか?
一度このルールを理解すればいろんなことに応用できます。
もちろんお墓にも。
今日は一般的な「席順」について説明後、お墓にどの様に適応されるのかご紹介します。
席順決め方とマナーについて
どんな席でも、席順には上座(上位)と下座(下位)があります。
和室、洋室、エレベーターや車内など様々な状況で「上座」「下座」が決まっています。
上座は入口で決まる
基本的には入口から遠いところが「上座」。近いところが「下座」です。
*人数や部屋の作りなどで異なる場合があります。
あなたが招待された場合、基本的には「下座」に座るのが一般的。ただし、すすめられた場合は「上座」「下座」に関わらず、すすめられた席(指定された席)に座るのがマナーです。
逆に、あなたがお客様をお迎えするときは、目上の方やお客様を「上座」にご案内しましょう。
左右で違いはあるのか?
入口から遠いところが「上座」というのはわかりましたが、左右で違いがあるのでしょうか?
もちろん左右でも「上座・下座」は決まっています。
ただし、日本と西洋ではこれが逆転するのでご注意ください。
日本の場合
日本では伝統的に「左上右下」という礼儀作法があります。
「さじょううげ」と読み、意味は「左が上位、右が下位」。
注:「左上右下」というのは「天帝(当事者)」側から見た場合の「右左」です。
正面から対面した場合は左右逆になります。(正面から見て右が上座、左が下座)
左上右下の由来
これは中国思想の「天帝は北辰に座して南面す」に由来します。
北辰というのは「北極星」のこと。つまり、「天帝(皇帝)は不動の北極星の位置に座り、南に向かう」という意味です。
南北が出ましたので東西はというと、「太陽が昇る東が沈む西より尊い」とされ、「東より西が上位」とされます。
「左上右下」はあらゆるところにある
例えば和服の「右前」。これは「左襟が右襟より前になる」作法です。(自分から見て左上右下)
ちなみに死に装束は逆で「左前(右襟が左襟より前)」になります。
おひな様も日本の古い慣習ではお内裏様(天子)は向かって右側です。
ふすまや障子も、(重要な部屋から見て)左側が前になるのが基本です。
西洋の場合
日本とは逆で「右が上位」となります。
諸説ありますが、古代ローマでは器用であり力強い利き手側の【右】を善とし、【左】に悪霊が宿ると考えました。そこから「rigeht」には「右・正しい」という意味が生まれ、左より上位とされています。
お墓の場合
お墓にも、「入口から遠いところが上座」「左上右下」が貫かれています。
例えば
・基本的なお墓の場所
・お墓(トボ石・仏石)のどこに誰の名前を彫るか。
・骨瓶の順番。
・墓誌をどこに置くか。
というのにも決まりがあります。
お墓の場所、墓誌の位置
通常は入口から一番通りところにお墓を置きます。
またお墓から見て右側が上座になりますので、墓誌や古いお墓などを置きます。
文字を彫る場所
お墓に名前を彫る場所にも上位下位があります。
和型墓石の場合
トボ石の正面が上座で、左側面、右側面と続きます。
正面:「南無阿弥陀佛」や「南無釈迦牟尼仏」などのお題目や、「○○家之墓」と刻むことが多い。
左側面:「先祖代々之墓」「初代(家を興された方)」もしくは「目上の方」のお名前を刻むことが多い。
右側面:「お墓を建てた方」または「お墓を継ぐ方」のお名前を刻むことが多い。
*注:あくまでも一般的なルールで、それぞれのご家庭の事情により異なることがあります。
洋型墓石の場合
トボ石の正面が上座。左右側面が狭いため、背面に名前を刻むことが多い。
骨壷(骨瓶)の並べ方
納骨堂内に納める骨壷(骨瓶)の並べ方にも順番があります。(私はこのように祖父から教わりました。)
一部「上座下座」や「左上右下」のルールから外れる箇所もありますが、故人同士の関係性を重要視してこのようにご提案しております。
・ご夫婦で骨壷を並べる場合:左上右下に従って、骨壷からみて右側が夫になります。
・ご夫婦+お子さんの骨壺を並べる場合:ご両親(夫婦)の間にお子さんの骨壷を置きます。(上座下座のルールから外れますが、生前の関係性を考えて私はこのように勧めています。)お子さんはやっぱりご夫婦の間がいいかなって。
・ご夫婦2組の骨壷を並べる場合:基本、奥が上座になります。また、縦列の場合と横列で並べ方が異なります。
*以上はあくまでも席次ルールに従った並べ方です。
実際には生前の関係性やご遺族のお考えを優先させます。
ごくまれにですが「○○と離して欲しい」という話もお聞きします。心当たりのある人は今のうちに頑張りましょう。
骨壷の名前が消えてわからなくなっている場合
骨壷の文字が消えてしまっている場合は
- 古いものは奥
- 新しいものは手前
で並べておけば間違いありません。
また、骨壷が割れてしまっている場合は新しいものに入れ替えるか、少し大きなものを用意してまとめてしまうことも検討してみてください。
富山県のお墓は納骨堂が大きいので、大きな壷にまとめることもご検討ください。
ご自分でできないときは、石材店や私のようなお墓職人に依頼してください。
お骨をまとめるときには特別な儀式は必要ありません。通常通りお参り後に行ってください。