平成7年以前に建てられたお墓は危険ですから不用意に近づかないこと

  • 2018年2月27日
  • 2020年1月17日
  • お墓
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私がお墓を見るとき、必ず建墓年数を確認します。

「いつ頃建てたのか」を見れば「どのようにお墓を建てたのか」がわかるからです。

注意して欲しいのは平成7年以前に建てられたお墓。

倒れてくる危険性があります。

墓石倒れ、園児重体

「墓石が倒れ、園児が重体になる」という事故がおこりました。

事故のあらましはこうです。

長野県高盛町上市田の墓地に隣接広場で、園児46人が保育士4人に引率されて遊んでいたところ、男児が墓石の下に倒れていた。

(引用:墓石倒れ、園児重体=長野「Yahoo!Japanニュース」)

2月19日の報道では園児は意識不明の重体と報じられていました。

その後のことはわからないのですが、ケガをしたお子さんが一日でも早く回復するように願っています。

どのような石が倒れてきたのか

どのような墓石が倒れたのか見てみると

墓石は高さ80センチ、幅40センチ、奥行き20センチ。土台の石の上に載っており、固定されていなかった。

(引用:墓石倒れ、園児重体=長野「Yahoo!Japanニュース」)

一般的に墓石に使用される花崗岩(御影石は花崗岩などの俗称:比重は2.5~2.8)として、重さを計算するのに花崗岩の比重の中間値(2.65)を用いて計算すると

0.8×0.4×0.2×2.65=0.1696t≒0.17t=170kg

つまり約170kgの墓石が倒れてきたのです。

こんな石が倒れてくれば、大人でもひとたまりもありません。

なぜお墓の石が固定されていなかったのか

また記事によると「土台の石の上に載っており、固定されていなかった」と説明されていました。

墓石を建てるとき、石を固定していくのが普通です。
その方法は接着材を使ったりセメントを使ったりするのですが、施工方法は年代によって異なります。

大きく分けて

・セメントによる固定:平成7年以前に建てられたお墓に多い。
・接着剤による固定:平成7年以降に建てられたお墓に多い。

接着力は 接着剤>>>>>>>セメント (使用量が同程度の場合)

特に、セメントは経年変化、圧縮、凍害爆裂による劣化が起こりやすく、数年~数十年経つとセメントが風化してしまうことが多いのです。

つまり、
『倒れた墓石は最初から固定されていなかったわけではない。劣化によりセメントが風化してしまい、固定されていない状態になった』のではないかと推測されます。

*昔からの建墓技法には、凹凸を組み合わせて固定したり、金具を入れて固定する方法もありますが、すべてのお墓に施されているわけではありません。

平成7年以前に建てたお墓は特に注意が必要

私は普段から「平成7年以前に建てたお墓は固定されていない場合がある」と説明しています。

平成7年とは『阪神淡路大震災』があった年です。

実は、この震災の後から「墓石の耐震施工方法」の1つとして墓石用接着剤の使用が広まりました。

もちろん平成7年以降のすべてのお墓が墓石用接着材を使用しているわけはないし、接着剤も使用方法によってはほとんど効果が発揮されない場合もあります。

しかし、目安として「平成7年以前のお墓」と「平成7年以降のお墓」を意識するのは大事なのことです。

ご自分の家のお墓が建てられた年数を、今一度確認してください。

併せて墓石の固定がしっかりなされているかも確認することをオススメいたします。

石が固定されているかを確認する方法

石が固定されているかを確認するには実際に押してみるのが一番なのですが、下手をすれば倒してしまったり、ケガをする可能性もあります。

まずは目視での確認をオススメしています。

・チリが同じか確認する。

チリというのは「二つの材面のズレ」を指します。

 

 

 

 

*赤い矢印部分がチリです。

墓石の場合、通常は、同じ方向のチリは同じ寸法です。
このチリが5㎜以上違っている場合、石が動いている(=固定されていない)可能性があります。

 

 

 

 

・石と石の隙間の高さに目線を合わせる。

石と石を接着させるためにセメントが風化している場合、その部分が空洞になっていることがあります。ですから隙間部分に目線を合わせると、反対側が見えることがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

お墓の不具合を見つける方法として、「水見式診断」を公開しました。「お墓の不具合を見つける『水見式診断』」(2019.03.30)

墓石が倒れてケガをした場合の責任の所在

「墓石が自然に倒れてきた」のか「墓石に力を加えて倒したのか」によって異なります。

墓石が自然に倒れてきた場合

「何もしていないのに墓石が自然に倒れてきた場合」、その責任は墓石管理者(お墓の所有者)にあります。
また、「危ない」とわかったまま放置していた場合、墓地管理責任者(寺院や墓地管理事務局)にも責任が発生することがあります。

『雪でお墓が壊れたとき、石材店が保証してくれるのか』もご参考ください。

墓石に力を加えて倒した場合

例えば「手をついたら倒れた」とか「上に乗ったら倒れた」などの場合、「通常想定されている使用範囲内かどうか」が重要になってきます。

まとめ

「平成7年」というのは墓石の耐震施工が広まった時期であり、あくまでも目安です。

ただこのような基準を知った上で、お墓に注意を払うのはお墓や家族を守ることにもつながります。

そして「危険であることを知っていたのに放置していた」場合、過失に問われることがあります。

墓地管理者である寺院も「知らなかった」ではいけませ。

雪が溶けお墓参りに行かれたとき、一度確認されることをオススメします。